SAN JOSE通信Vol.36

 

Toddlerの初日、心配しながら迎えに行った言は「あー楽しかった(^^)」と激しくジャンプしながら笑顔で走ってきました。お弁当もきれいに食べてあったし、本当に安心しました。「やっぱりこの子は大丈夫だわ」と思ったものです。翌朝も車の後部座席で、「しゅっぱつしんこー」と叫び、楽しみな様子でした。先生に言を預けた後、「あの子は大丈夫」と思っているのだけれども、やはりぐるぐる車で園庭の周りを走ったり、横付けして車から様子を眺めたりしていました。言は顔に手をあててうつむいています。しばらくして、そのまましゃがみこみました。「あっ泣いている」と感じました。誰も言にかまってくれません。もうしばらくすると、立ち上がって顔に手をあてたまま天を仰いでいます。「これは号泣しているに違いない(>_<)」と思うと、彼に向かって走り出したい衝動に駆られました。すると、遠くから黒人の先生が寄ってきて、言を抱き上げてくださいました。うつむいたまま抱かれ、頭をなでてもらっていました。ここで、私は心を鬼にして用事を済ませるために園を後にしました。

 

旦をピックアップしてすぐに「言ちゃん泣いていたから早くお迎えに行こうね!」と旦に言うと「大丈夫だよ。言はもう泣いていないと思うよ。あきらめているよ、きっと。」なんて、ギョッとすることを言い出しました。心の中で「じゃあ、旦もあきらめているわけ?」と思いましたが、口には出しませんでした。お迎えに行くと、昨日ほどの元気さはないものの、言は笑って走り寄ってきました。先生に「今朝、言は泣いていましたね」と言うと、「泣いていないわよ」という。「私は外から見ていたもの、泣いていましたよね。」と言うと、「はぁー?彼はずっと機嫌よく遊んでいたわ」と言うのです。「何でうそつくのよ」と、食って掛かりそうになりましたが、得策ではないと思い礼を言って別れました。ものすごくもモヤモヤしました。そのまま、園庭で旦には持ってきたお弁当を食べさせ、言にはジュースを与えながら遊んでいました。そこへ、朝方言を抱っこしてくれた黒人の先生が通りかかったので「言は朝泣いていましたよね?」と、もう一度尋ねてみました。すると「泣いていないわよ。始めはうつむいていたけれど、誘ったら、皆に交じって遊んだわ。」とのこと。今度の話のほうが、真実味があったので納得しました。顔に手を当てていたけれども、泣いてはいなかったんだ。お弁当も全部食べてあったし、良しとしようかな・・・。と自分に言い聞かせたのです。

 

3日目の朝、またまた先生に言を預けた後、車でぐるぐる周って様子を見ていました。彼はずっとうつむいて、一人でベンチに座っています。誰も声を掛けない。言は泣くわけではないけれど、ずっと動かないのだ。あんまり動かないので、仕方なく買い物に行きました。気になって、帰り道に園に寄りました。もう1時間も経っていたので、クラスの中に入ってスナックタイムかな・・・と思ったのですが、運がよければ一目見れるかも、その時にお友達と遊んでいれば安心も出来るし。ところが驚いたことに、言はさっきと同じ体勢のまま、一人でベンチにうなだれて座っていたのです。無性に涙がこみ上げてきて仕方なかったです。

←転んで頭を冷やしていることちゃん

 

この金曜日、キンダーの後Williamと公園で一緒にLunchを食べる約束をしていました。言をPick upしてから公園に向かうと、Tomasもいました。TomasはDistrict(学区)が違うので、違うキンダーに入園したのです。久しぶりの再会。TomasのMomは「Tomasのクラスは6人も日本人がいるのよ。旦のクラスに一人も日本人がいないなんて、これは代わったほうがいいわね」なんて笑っていました。彼らの家は、日系スーパーや日本人学校に近いので、日本人が多いDistrictなのでしょう。Summer schoolまではDistrictは関係なかったので、色々な国の子供達がいましたが、キンダーからはかなり白人の占める割合がアップしました。Lunchの後は、Mom3人で近況報告やたわいもない話しをする。その中で、興味深い話が出ました。

 

TomasのMom「今度からTomasをWestgate collegeに中国語を勉強させに行かせるの」

LilyWilliamのMom)「その中国語はnewなの?それともoldなの?」

「え?newとoldって何のこと?」

Lily「中国の中国語は「new-Chinese」で、台湾の中国語は「old-Chinese」なのよ。TomasはChinese(中国人)だけど、WilliamはTaiwanese(台湾人)だから「old-Chinese」を勉強しなくてはいけないの。おまけに「old-Chinese」のほうが、幾分難しいのよ。私もWilliamにも学校を探しているの。」

 

今までWilliamはChineseと思っていたし、台湾と中国が違う中国語だとは知りませんでした。

 

「実は旦も、日本語と英語のWriting・Readingの学校に行かせることにしたの」

そうなのです、旦はこれから忙しくなるのです。

 

水曜日に学校で「Back-to-School-Night」が行われました。これは“adult-only”で、夜、各クラスの先生の紹介と1年間のカリキュラムの説明などが行われるものです。“adult-only”ということで、パパに参加してもらいました。その後Miss Sanfilippoに普段の旦の様子を伺ったところ「今彼は辛い時期だと思う。私は生徒達に何か課題を与える時は、必ず一度私がやって見せています。だから、旦も私のやることをよく見ていればわかるはず。それでも分からなかったら、お友達が作業しているのを見て、同じようにやるように言って頂戴。彼は私のやることを見ていないのよ。それから、彼はもっと英語に触れさせる必要があるわ」とおっしゃいました。

 

翌朝旦に「先生はちゃんと最初にやり方を見せてくれているって言ってたよ。旦くん、ちゃんと先生のこと見ていたら、やり方が分かると思うんだけど。それでも分からなかったら、お友達のやっていることを見て、同じようにやってごらん。」と言いました。その時の旦は、さも聞いていないという感じで知らんふりしていました。このところ随分と自分に自信がなくなってきていて、そういう気持ちが彼の言葉の随所に感じられていました。「旦くん、何やっているのか全然分かんないんだよ。旦くんバカなんだもん。僕病気なんだよ。もう疲れているからキンダーの話は終わり。」などなど・・・。注意力も集中力にも欠いている感じ。

 

その日帰宅した彼は、「今日はね、先生のお顔をきっちり見て、きっちり座っていたんだ。だからやり方わかったんだよ!」と嬉しそうにしていました(私の話を聞いていないようで、聞いているのね)。そしてその翌日のSharingもうまく出来たよう、で「旦くんねSharingさせてもらったんだ。すごく上手に出来たんだよ。DaddyとMommyとAshitaKotoshiのことを教えてあげたんだ。それからThis is my familyって言ったんだ。あとここはディズニーランドだって教えてあげたよ。」と開口一番一気にまくし立てました。「そしたらね、この写真を見て、僕のお友達じゃないお友達(相変わらずこういう表現(^^;))が、ミニーって叫んだんだ。先生もお口をこうやって(ここでニーッと笑う真似)笑っていたよ。」

少しずつ少しずつ、自信を取り戻しているようです。←これが彼が持っていった写真のうちの1枚です。

 

かなり話が脱線しました(^^;)。Miss Sanfilippoがおっしゃった「彼はもっと英語に触れさせる必要があるわ」という言葉は、私たちも感じていたことでした。ESLがなくなった以上、それにかわる方法で、彼にきちんと英語の教育をさせなければと思っていました。「自然に英語をPick upするだろうに」という意見も聞こえてきそうですが、少しでもはやく本来の彼の良い部分が思いっきり出せるように、手助けが必要なのです。私たちが出した結論は「旦にWriting・Reading・Speakingの英語の教育を専門機関で受けさせる」でした。とりあえず「Writing・Reading」の学校はもう通い始めています。「Speaking」の方は昨日見学に行きましたが、まだ申し込んではいません。もし申し込めば、これから旦は週4日、キンダーの後に勉強に行くことになります。それに「Writing・Reading」の学校は毎日宿題(勿論、私と一緒に)もこなさなくてはなりません。それプラス私のESL(週2日)も今月末の週から再開。その間は子供達は、Child careに預けます。更に10月からはキンダーでも宿題開始というわけで、なかなかハードな日々になります。この英語教育を、渡米直後の勢いがあるうちにやってあげていれば良かったのですけれど・・・。今更後悔しても始まらないので(といいつつ、後悔ばっかりしているのですが(^^;))、今は家族一丸となって頑張ってみようと思います。

 

話はまたまた金曜日の公園にもどります。

公園には、他にも旦と同じキンダーだという子供達が大勢遊んでいました。おかげで一気に私もMomの知り合いが出来ました。話の中身は、やっぱり「キンダーや先生について」が多く「○○先生は最近来たばっかりなのよ」「○○先生はお休みしている先生の代わりに来ているだけなのよ」などなど。Miss Sanfilippoの話も出て、Mom内では賛否両論でした。「彼女は自分のやり方を子供達に押し付けるから好きじゃない」「彼女はベテランだし、安心できるわよ」「彼女は子供がバタバタ騒ぐことが嫌いなのよ」私はMiss Sanfilippoのことを嫌いではありません、信頼していますから。まぁ今の所、楽しいおしゃべりが出来る相手ではありませんが。というわけで「彼女は確かに子供が騒ぐことを好まないですね。旦はいつも『Don’t do that!と注意される』と言ってるのよ」とだけ言い、極論は避けました(^^;)でも色々な人の意見を聞くことが出来たのは有益でした。おまけに別れ際「See you next Friday!」と言われ「What?Next Friday?」・・・・・・これから「毎週金曜日のランチは公園で一緒に」という事になったのです。←制服を着た旦、ちょ・・ちょっと堅いぞ(^^;)

 

さてさて言のToddlerその後。

腹に一物をためていると良くないと思い、週明け月曜日、先生に「私が言に望んでいることは、少しでも英語に触れて、少しでも英語をpick upすることです。ですから、一人にさせておかないで、子供達と一緒に遊ばせたり、先生方も話しかけてあげてください」と伝えました。先生は理解してくださいました。そして初めて、言は別れ際に泣いたのです。言ってスッキリしたと同時に、「別れの儀式」で泣かれる、という初の体験に胸がズーンと重くなりました。振り返ってみて、日本にいたときからこの日まで、子供達は私と離れることを何とも思っていないように、ちっとも泣かなかったのです。

 

この翌日の今日も言は泣きました。別れてからいつものごとく(^^;)、車で園庭を覗いていると、まーた言はひとりでうつむいてベンチに座っています。耐えられなくなって、園庭に戻りました。ちょうど通りかかったオフィスの女性に「息子を一人にさせておかないで下さい。遊びの輪に入れてあげてください。」とお願いしました。その後は、先生が言の相手をしてくださっていたので帰宅しました。しばらくは車から様子を見るのが日課になりそうです。預けた以上はおまかせすればいいのでしょうけれど、どうもそれが出来ないのです。これが私の性格(^^;)なのですね。しかしここまでカッとなりやすく、他人に強く言う性格とは知りませんでした(我ながら、驚き(^^;))。

 

ちなみに今日お迎えに行くと、先生が「今日の言はvery good boyだったわ。お友達と一緒に遊び、たくさん話してくれたの。勿論日本語でね。だから誰も言っていることが分からないのだけど、彼はあきらめないで、思いっきり日本語で一生懸命説明していたのよ!私たちとしては、英語で聞きたいくらいだったわ!」と大笑いしながら教えてくださいました。うれしかった〜♪朝方、園に対して言いすぎたかも・・・言の立場が悪くなったらかわいそうだな・・・と気にしていたので、尚更。おまけに初めて「cooperative-friendly」の欄に○をもらってきたのです。いつもは「happy-curious」にしか○は頂けていませんでした。

いちほ(9/10/02)

 

冗長な文を最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。前回の通信は意識的に軽め・明るめに書きましたが、今回は、かなり愚痴っぽい(本音の)通信になってしまいました。実際は、旦のキンダー開始前1週間から、泣いたり・怒ったり・また泣いたりの日々でした。まだまだ苦労の連続だと思いますが、今後も通信にどうぞお付き合い下さいね。現在は、2人に少しずつ希望の光をみられる手段を見つけた気がして、少し気分的には落ち着いている所です。

 

旦は「ああ、旦くんはキンダーやお勉強でいそがしいなぁー」と、さも得意げに言い、宿題時の私とマンツーマンの時間を楽しんでいるようです。彼が元気にしていることが、今の私のよりどころ。今まで、うまく彼に愛情表現が出来ずにいましたが(情けないことに、テレのため)、頑張ったり悩んだり、且つその頑張りを得意げにする彼のことを見て、こころから愛しいと感じ、素直に抱きしめてあげることが出来る様になりました。言のことは、まだどうなるか分かりませんが、彼はお友達の輪にさえ入って行ければやって行けるタイプですし、旦ほど言葉の壁について悩む年齢ではないと思います。とにかく、楽しく遊んでくれれば言うことなしなのです。

 

気付けば、明日は9・11ですね。何も起こらないことを願うのみです。

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