SAN JOSE通信Vol.47

 

アメリカでは「Donation(寄付)」と「Volunteer(ボランティア)」が、当たり前の様に生活を占めている。

 

よくボーイスカウト・ガールスカウトの子供達がピンポンを押して、何かを売りに来る。その可愛い(*^^*)様子に、ついポップコーンなどを買ってしまう私(たまに幼い自分の子供を心配してか、お母様が背後で見守っていたりすると「買わせて頂きます」という感じ)。スーパーの前でも、手作りのものを売っていたり、オリジナルのパッケージに入ったクッキーを売っていることもある。パパの上司のお嬢さんがガールスカウトに入っているので、協力してクッキーをたくさん買ったこともある。Thanksgiving Day前には、ホームレスの為に毛布や食べ物(Halloweenで大量に余ったお菓子など)をDonationした。

 

キンダーからのお知らせに「The Fire Depertmentがスポンサーになって“Toys for Tots”を、San Jose Mercury Newsが推進して”The Gift of Reading”を行うので、このプログラムの為に、子供達に新しいおもちゃと新しい本を寄付してもらいたい。そして、子供達が出来る仕事を与えることによって、仕事をすればお金が稼げるということを理解させ、子供達を励まして欲しい。お金を手にするという意味を理解させて欲しい」と書いてあった。我が家も新しいおもちゃ(旦のBirthday Partyのお返しで余ったものなど)と新しい絵本(学校で数冊買って読みそうもなかったもの)を寄付した。新たに買わなくても、何かしらそういうものはどの家にもある気がする。

 

学校内では、本当に「Donation」だらけ。今までに、お金そのものを寄付したことも多い。しかしそれ以外では、毎週金曜日のランチタイムに、$1で子供達がアイスクリームを売り、この売り上げは4th GradeのScience Campの足しになりますとか。学校が加入しているお店のインターネット販売を利用すれば、購入額の○○%が学校に寄付されるので、ぜひここで買い物をしてくださいとか。○月○日は、To Go(持ち帰り)でも良いですからここのレストランで食事をしてください、そうすれば売り上げの○○%が学校に寄付されますとか。ある週末には、先生・生徒・その家族が参加して、近所を周って寄付を募るという大々的な行事もあった。その時に用意された(お金を出して買うのだけれど)ランチも、作る人はVolunteer、飲み物は皆からの寄付。この飲み物、直前までまだ足りないので「6本でもいいから皆さん持ってきてください!」というお知らせが配られた。もう思い出せない・書き切れないくらいに、毎週何かしらのお願いが配られる「Donation(寄付)」と「Volunteer(ボランティア)」。始めの頃には、何だかえげつないな・・・と思うこともあったけれど、最近は趣旨によっては協力することが多くなった。当初「予算がなくて今年はない」とされていた旦のESLだって、こういう行為の積み重ねで出来上がった授業なのだから、感謝しなくてはならない。時折「?」と思うような内容のものもある。そういうものは参加しなければ良い。

 

先日、私は旦のキンダーのクラスのボランティアに行って来た。Conferenceの時に「クラスの中でHelperが必要ですか?」という問いに対して「いつでも好きな日時でWelcomeよ」という返事を頂いていた。「いつが良い?」という問いに「毎日、9時15分〜Dismiss TimeまでOK」と言うと、「じゃあ金曜日はどうかしら?」とのことで、毎週金曜日で決まり。「で、下の子は?」と聞かれ「彼は毎日、午前中はプレスクールに行っているから大丈夫。」と答えたところ、彼女は心底ホッとした様子で「これで、下の子も一緒だったら大変だわ。子守は出来ないもの。」と笑っていた(^^;)まったく同感である。

 

さて、ボランティアに指定された当日は、最も興味深いSharing Dayがある日。それだけでも、かなり楽しみでした。言をプレスクールに送ったその足で、キンダーに向かう。クラスに入ると、先生がハヌカについての話をしているところだった。ハヌカとはユダヤ教の、この時期クリスマス同様に大きなイベント。念のため、説明を入れます。『ハヌカの祭りは、紀元前167年のマカベア戦争にユダヤ人が勝利したことを記念した祭り。この祭りは8日間かけて行われ、毎日燭台に点火するのが主な行事。使用される燭台は、ハヌキアと呼ばれる8つ枝のある特殊なもの。ハヌキアには8日間の祝いに合わせた8つの枝と、点火用のシェメシュと呼ばれる枝の合計9つの枝がある。祭りの初日に一番端の1本だけに灯し、日ごとに1本ずつ追加していき、8日目には全てに点火するというもの。』私も最近知ったので、勿論旦は理解していなかったよう。アメリカでは必ずHolidayの内容と歴史的背景を学ぶ

 

その説明の最中に私が現れたので、旦は私に気をとられ、何度も私をちらちら見ている。私はMiss Sanfilippoを指差し「先生を見なさい!」と口パクで指示。案の定、気付いた先生は「旦、後ろではなく私を見なさい!」と諭す。うなだれる旦。説明後、皆は印刷されたハヌカの蜀台の絵に色をぬり、8本のキャンドルを描き、名前とその絵を色画用紙に貼るという作業を始めた。旦は泣いていて、うつむいたまま自分の席に戻らない。しばらくほっとかれた後、Miss Sanfilippoが旦の手をひっぱり、席に座らせた。そのまま机にうつぶせていたが、気を取り直して作業をはじめ、一番遅れて作品を仕上げた。私は、Mrs. MacDonaldに託された「子供たちの今後の製作物」の下準備をしていた。しかし驚いたことに、おしゃべりをする子が一人もいないのだ。みんなきちんと先生の話を聞き、サッと席に戻って黙々と作業をする。教室の中はMiss Sanfilippoの声以外しない。それでもたまに、少し動いたり、余計な事を話した子供はすぐに注意される。子供達の集中力は、私の想像をはるかに超えていた。

 

sc003.gif 121x98 5.82KB10時から30分間は、Outside Recess(外遊び)。各自自分のバックパックを背負い、ジャケットを着て1列に並ぶ。Mrs. MacDonaldの先導で、外のベンチまで行きバックパックを置く。そこからは自由に遊んで良い。子供たちは一斉に走り回ったり叫んだりしていました。何だか他の子たちが叫んでいる姿を見て、妙に安心した私。皆がすでに外に行ってしまった後、旦は少し遅れてバックパックを担いで外に走っていった。私はその間も、クラス内で作業を黙々とこなしていた。アウトサイドはMrs. MacDonaldが担当。彼女は旦のクラスRoom1の午後のクラスの先生。こうやって午前午後の先生が、それぞれ助け合って影や日なたになって1日の保育をする。この時、Miss Sanfilippoは室内で、おそらく軽い食事を取っていたのだと思う。別室に消える前に私の所にやって来て「旦は、いつもは私がDon’t play. Look at me,などと言えばすぐに従うわ。でも、今日はあなたが来ていたからダメだったわね。」と笑って去った。彼女は小休憩後外に出て、早速スナックをこぼしながら食べていた女の子に「私は数日前からあなたに注意しているけれど、こういう食べ方は許されないわ。すぐに片付けなさい。何度も言っているのだから、もう今日はスナックを食べてはいけません」と叱っていた。

 

10時半、スナックを食べた子供達は、再び一列に並んで帰ってきた。速やかにそれぞれ自分のバックパックをしまい、ジャケットをフックにかけていた。後半の授業開始。

 

今度はMath。Miss Sanfilippoが、ホワイトボードを使ってバーグラフの説明に入る。子供達はその前の床に座って黙って説明を聞く。バーグラフについては11月の宿題でみっちり一緒にやったし、旦も面白かったようだった。おかげで、説明後に「10分間で問題を解きなさい」というものは時間内に、それも早い段階で仕上げた。この時ようやく、家で旦が事あるごとに「Ten minutes?」と尋ねる訳が分かった。そして、もう一つの課題「THという文字から始まるものを、赤で塗りなさい、それ以外はオレンジで塗りなさい」というもの。早速オレンジのクレヨンを持って何かを塗ろうとしている旦。同じグループの女の子2人が慌てて立ち上がって「ここじゃないわよ。ここでしょ」と言わんばかりに、指差している。「あっここか。そうだね。これはどう?」となにやら同じテーブルの子供達で話し合っている。どうやらグループワークだった模様。ちゃんとやりとりはしていた。これも早めに課題終了。

 

次は、私が楽しみにしていたSharing。その前の課題が一番に終了した者が、Sharingのトップをきれる。皆それぞれシェアするものをバックパックから取り出し、Miss Sanfilippoの足元に輪になって座る。「皆はどの位話すのだろう」と興味があった。この日19人中、発表したのは5人だけ。私はつい最近まで、毎回やるべきものだと思っていた。でも、用意ができていない子供はやらなくて良いらしい。旦は、上手に話せないにもかかわらず、とりあえず皆勤賞でSharingをやってきている(何故かやることにこだわっているのね)。勿論、簡単な2・3センテンスくらいだが・・・。今日は、頑張って4センテンスで練習した。最近、英文を読めるようになってきたので、紙に書いてあげれば何とかなる。今回のテーマはWinter Holiday Celebrationsだった。

 

最初の子はクリスマスのオーナメントを見せて1センテンスだけ話した。その子の話を受けて、Miss Sanfilippoが質問を投げかけ話題を膨らませる。次の男の子はクリスマスの本を見せながら、真っ赤に紅潮して何か小さい声で話した。私の位置からは聞き取れなかった。内気そうで、皆の目も見れない様だった。途中おしゃべりな男の子が、何度も発言(この子、送り迎えする父親もそっくりの陽気なおしゃべりさん。そのくせ自分の子供を「おしゃべりな子で・・・」と言っている愛すべきキャラ(^^;))。その度にMiss Sanfilippoになだめられる。「今はあなたの番ではありません。黙っていなさい。」「今は彼の番です。」次はクリスマスカードを持ってきた女の子。この子はカードの内容も読めて、結構話していた。ここで突然Miss Sanfilippoが声の調子を変えて「今回のテーマはWinter Holiday Celebrationsです。」と、あらたまって言った。今更何を言い出すのかと、耳を傾けていると「ケビン!あなたは何故スパイダーマンを持っているのですか?どう関係があるのですか!関係ないでしょ。バックパックにしまいなさい。」と続けた。さも「あれ?何で僕ったら・・・」という表情をした後、首をかしげながらニヤニヤしながらしまうケビン。どうやらキンダー後に預けられる、保育施設でのおもちゃ用に持ってきていた模様。悪いけれど、笑いをこらえるのに必死の私。おいしいわ、ケビン・・・。でも笑うものなど誰もいない。。。

 

次に旦の番。今回は「もし自国の特別な習慣や伝統があれば、皆に教えて欲しい」というお知らせもエンヴェロップに入っていたので、題目をにした。「On New Year’s Day,we eat mochi. This is a mochi.(ここで切り餅を見せる)We make it this way(ここで日本語の図鑑に載っている餅つきの写真を指差す)」予定だった。知らん顔して作業を続ける私だが、気になっちゃって耳がダンボ。「On New Year’s Day,we eat mochi(ホッ、言えたわね)This is a mochi.(餅出し忘れてるってばぁ〜餅だよ、もち!)。We make it this this this this this this・・・・this way!(図鑑の写真を指差しなさーーーい)」何とか言い終わったけれど、黙っているのがもどかしかっshishi7b.gif 82x58 2.41KBたわ。言い終わって得意げな旦と目が合い、私が指で四角を作り「もちーーーーー!」と口パク、慌ててMiss Snfilippoの膝にあった餅をもって高い位置にかかげる旦。タイミング違うでしょ、一言もちと言いなさいよぉ。察したMiss Sanfilippoが「これは餅です。この図鑑の様にこの棒を上に上げたり下ろしたりして餅をつくります。」と説明してくださった(餅つきを知っているらしい)。そして「これはSweet?旦は好き?」という質問をし、それに対してひっくるめた返事「Yes」と旦。.おーい、餅は甘くないぞー。何だか少々間違った感じだったが、話をMiss Sanfilippoが話を膨らませてくれて、なんとか無事に終わった。

 

その後3人ほどやらないと言った子が続き、4番目の子が立ち上がり「私のおばあちゃんは日本人です。だから、旦の話で思い出しました。私もスープに入れて食べる餅は大好きです」と言った。Miss Sanfilippoはとっさに私の顔を見て「餅はスープに入れて食べるの?」「ええ、そうする場合もあります。」と言うと、へぇっと納得。しかし、その後のコメントが「餅は甘くもあり、スープに入れて食べたりします。」とまとめられてしまった。ちょ、ちょっと待って、違うんだってば・・・・・。訂正したかったのだけど、流れを遮ってしまいそうでそのままにしてしまったのは、大きな後悔。

 

この辺りで11時20分、午後のクラスの子供達が登園してくる。午前午後のクラスが、25分間だけ交わる時間。ここでMrs. MacDonaldが絵本を読む。倍に膨れ上がった子供達が、先生を囲んで静かに座る。その後指された子供の一人が立ち上がり、今日の月と日にち、曜日を言う。それから、このキンダーが始まってから何日経ったか記入する。この日は68日目でした。

 

今度はMiss Sanfilippoが、歌詞の内容を教えてから、皆で一緒に歌を歌う。しかもピアノ無しのアカペラ。この日はドレイドルという歌でした。私は帰宅してから調べて分かったのですが、ドレイドルとは「四角形や四角錐のこまで、ネス・ガドール・ハヤ・シャム(偉大な奇跡がそこに起きた)の頭文字となるヘブライ文字、ヌン、ギメル、ヘー、シンが刻まれている。これを回して何の文字が出るかで、コインやお菓子などをやり取りして遊ぶ」ものだそうです。歌の後は先生が言った数だけジャンプ・外のフェンスまで走ってタッチして帰ってくる、と、ちょっと体をうごかす。そして、また座って、つづり字と発音の勉強。こうやってキンダーの一日(正確には4時間)は終わった。私のボランティアも同時に終わり。

 

私はそのまま言をPick Upしに向かったけれど、旦はこの後に45分間ESLを受けてから帰宅。

 

今回、初めてキンダーのクラスの中に入って色々なことが分かった。キンダーでのスケジュールは勿論だが、クラスの子供達は、私が思った以上にきちんとしていること。それでも旦は、それなりに随分と頑張っていること。Miss Sanfilippoは誰に対しても、いけない行為に関しては、(旦だけではなく)逐一注意するということ。その注意の仕方は、諭すように(厳しく反論は許さないが)目を見て何度でも相手が納得するまで、声を荒げずに話し続けるということ。これは見習わないと。そして、旦が家に帰ってきてからは走り回ったりしたくなる気持ちもね(^^;)

 

翌日の土曜日、旦と塾から帰ってくると1通の手紙が届いていた。学校からではなく、彼の通うキンダーのDistric水車小屋でtから私宛の手紙。何故パパではなくて、私宛なのか・・・。開封して理解した。その内容を要約すると「我々のAdult ESLをいつも受講して頂きありがとうございます。しかし、我々はあなたの子供、旦の行動に関して問題があり、今後彼をChild Careで受け入れることが出来ません。Mrs. Pirson(Jayneのこと)とMrs.Crawley(シッターのシルヴィアのこと)が、彼の乱暴な行為から他の子供を守る事・器物破損を恐れているので、この書面を送付します。あなた達両親は、YMCAなどの機関にある「Parenting Class」を受けて、彼を現代社会に対応できる人間に引き上げるよう薦めます。」だった。色々な事情により、次回のESLを受けるつもりが無かった私。でも先方からこんな三行半を突きつけられて、かなり参った・・・。一体何があったというのだろう。旦の人間性まで否定する、冷たい手紙。このところ精神的にかなりきつかった私にとって、強打だった。ゴルフから帰宅したパパにすぐ手紙を見せると、「僕達の旦は、僕達が望むように“優しく”“天真爛漫”で、“頑張りや”に育っている。周りに迷惑をかけたり、誰かを傷つけるような行為があれば治さなければいけないけれど、僕達の教育方針に外れていなければ、気にする必要はない。」と言った。普段はいなくても、こんな時にとても強く冷静で、的確な意見をいうパパを私は尊敬している。打たれっぱなしの毎日だが、旦の頑張っていることも誰かに認めて欲しかった。旦の名誉の為、これだけは言っておきたい。彼は、意味もなく暴力を振るうような乱暴な子供ではない。おふざけはかなりな物だが、基本的に優しい子供なので、器物破損・他の子に危害・・・などはないはず。小さい子に優しい子だ(言には対等な所があるけれど、これはどっちもどっち)。勿論、これは旦が何かをした結果の手紙だ。しかしChildcareにいるのは、旦・言・T君だけ。なにがあったのだろう。旦以外は赤ちゃんだ。彼は4時間のキンダーを過ごし、その後45分のESLを過ごし、20分の間に車でランチを食べ、そのままこのChildcare(窓もない小さな個室)に行く。帰れば宿題。。。自由があまりない。私はいつも申し訳なく思っていた。でもそんなことは言い訳なのだろう。そんな状況でも、きちんと出来る子はいるのだ。先日のボランティアで分かったもの。私は大きく落ち込み、母親としての自分を責めることになる。でもパパは、もっと冷静だった。「僕が直接Mrs. Pirsonと話して事実関係を聞くから、いち(私のこと)はアポをとって。」と。そう、私達が自分の子供を守る主張をするように、先方にも意見があり、そして、何があったかという事実を聞く必要がある。シルビアとキンダーの狭間にいるJayne,彼女の意見を聞くのはかなり重要だ。彼女の意見次第では、旦のESL、そしてキンダーにも影響するだろうから。私達の話し合い・決意は、旦の無邪気な表情を思い出しながら、夜更けまで続いた。何だかもどかしく、切ないことが多い日々である。

 

いちほ(12/8/02)

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